~11/30 読書会開催記録~

この日は久しぶりに、参加者の方全員が小説・エッセイをお持ちいただきました!
好きな小説は、ビジネス書以上にその方の価値観が色濃く反映されますので、聞いている側もすごく関心を持つことができるのではないかと思います。


ネタバレになってしまいますので、大まかなあらすじのみ簡単にご紹介します!
興味のある方は読んでみて下さいね!


1.夜のピクニック 著:恩田 陸


映画にもなっている作品なのでご存知の方も多いかもしれません。THE・青春といった内容ですが、サイドストーリーの展開が巧妙で、アッとさせられる場面もあるようです。

【あらすじ】

舞台となる高校では、歩行祭というイベントが毎年行われています。ひたすら80キロという距離を歩く、ただそれだけのイベントで、生徒は朝学校を出発し、夜を徹して歩きます。それぞれ、胸に秘めた三年間の悩みや思いを抱えながら…


主人公の一人である「甲田貴子」はクラスメイトの、「西脇融」に、ある想いを抱いていました。貴子と融は「異母兄弟」でありながら、お互いに引け目を感じあい、これまでまともに会話すらしたことがなかったのですが、その状況から一歩前に進むべく、貴子はある賭けをします。



お互いが相手のことを考えることによって生まれるすれ違いや、とても繊細で甘酸っぱい青春の情動、また周囲を彩る個性豊かな生徒の存在が物語を引き立てていきます。”ただ歩くだけ”のイベントに、彼らの揺れ動く想いが描かれており、映画のキャッチフレーズは、「みんなで夜歩く。それだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」


王道の青春ストーリーでありながら、どこか複雑さも感じさせる作品になっています。


2.小沢健二の帰還

かの有名なポップ・スター、「小沢健二」の活動休止と再開をテーマにした対話から生まれた本です。

彼は人気絶頂を迎えていたある時期を境に人びとの前から忽然と姿を消してしまいます。そして29歳から48歳、実に18年が経過した後、彼は再度大きな歓声の中で華々しく復活を遂げることになります。19年前、日本の音楽シーンの最も華やかな場所から姿を消し、2017年になりその最前線に「帰還」したのが小沢健二。「空白の時代」の活動や思索、表現について、音楽作品や文章、知られざる資料まで丹念に読み説き、その足跡を追ったストーリーです。



3.ハッカーと画家

LISPハッカーでありながら美術学校で絵画を学んだ経験のある、異色の技術者ポール・グレアムによるハッカーの取扱説明書です。米国版の翻訳バージョンが本書となっています。プログラミングごとの生産性の差など現代のITエンジニアの考え方が分かる内容になっています。IT系の方はもちろんそうではない方でも刺激的な表現も多く読んでいて面白い一冊になっています。



プログラミングは絵画や建築と共通点があることや、小さくて俊敏なベンチャー企業なら成功を作って勝つことができることなどを美術史を交えて語っています。



その中でも、冒頭の、「なぜオタクはモテないのか?」が面白いです(笑)。自分を回りに合わせているか、回りにどう見られているかを価値に置いている若者が多い現代の日本で、才能を伸ばしたり知性に重きを置いているおたくは大学に行くまではあまり良い思いをすることがないと言います。(義務教育部分はとりわけその傾向が強い)。



「学校は牢獄だ」「大学や社会に出てからなら道は開ける」「自分の生きる世界を変えろ」ひいては「アメリカの公立学校の凡庸さも変えろ」 的な話がしばらく続きますが、プログラマーらしく根拠を明快に筋道立てて真面目に論じています(笑)。スクールカースト回りの話はアメリカの映画やドラマだとよく出てきますが、その内容が色濃く反映されているといえます。



4.ぼくの短歌ノート


文芸誌の群像に連載中の現代短歌ノートを書籍版にしたものです。「高齢者を詠った歌」や「落ちているものの歌」など、テーマ設定は多岐にわたりますが、どれも非常に深く面白いです。短歌に全く興味のない方でも笑っちゃうような中身になっています。伊藤園の「お~いお茶」のラベルには一般の方から寄せられた短歌がいくつか掲載されていますが、あれを何となく読んでしまうようなイメージでスラスラ読めてしまいます(笑)。小難しい理論等も一切ありません。主題に沿った歌を選び、著者が解説するスタイルですが、、斎藤茂吉や与謝野晶子などの大物の作に、中学生の投稿歌が肩を並べています。



一例として、身も蓋もない歌を。



「ハブられたイケてるやつがワンランク下の僕らと弁当食べる」


スクールカーストにおいてかつて上位にいたヤツが、その中から仲間外れにされて仕方なく「ワンランク下」の「僕ら」と弁当を食べる淋しさ…。弁当くらい一人で食えばいいのに…とも思うが、そうできない「イケてるやつ」はこのあとどうするのでしょうか?(笑)



いかがでしたでしょうか?
参加者の方の個性が光る刺激的な回となりました!マニアックな本を紹介したいという方も大歓迎です!ぜひ一度ご参加下さい!!

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