第168回 読書会開催記録
2.キリンビール高知支店の奇跡
筆者はキリンビール元営業本部長の方です。「売る」ことすなわち営業の真髄が詰まった実話に基づく本です。当時高知県のシェアはおなじみ「アサヒスーパードライ」に独占されており、そこからの逆転劇がメインのストーリーになっています。
大切なのは「現場力」と「理念」であるとはっきり書かれています。このような言葉で表すと、「体育会系だ」とか「時代錯誤だ」などと言われてしまうわけですが(笑)、やはり組織、とりわけ大きな組織になってくると、リーダー(上司)も平営業もひとつの歯車として動いてしまいがちになります。そうすると「自分には関係ない」となり、ますます停滞してしまいます。当時のキリンビール高知支店もそうなっていたわけです。そこから「何のために働くのか」「自分の会社の存在意義は何なのか」という理念を自分で考えることが大切になるということです。
では、具体的にどんなことを考えたのか、これまたシンプルで「積極的に顧客とコミュニケーションをとる」ことや「高知の人たちの地元愛に訴えるようなアピールをしていく」ということです。つまり、何か特別な施策をしたわけではなく、サービス業としてやるべきことを、社員1人1人が理解し、率先して行った結果です。
このようなモチベーションを社員1人1人に持たせることができるリーダーシップが一つのキーワードとなるのではないかと思います。前述の事は、社員もみなわかっていてもなかなかできるものではないからです。結局「この地域性では・・・企業風土では・・・」と言って、結局「前任者と同じ」になりがちだからです。
分かっているけど、できないこと、が一番難しいということです。
3.スマホ脳
2020年後半から2021年にかけて、なにかと話題になった本です。当読書会でも何度か紹介されていました。タイトルがシンプルながらインパクトがあるにも関わらず、何か気になって手に取った人も多いのではないでしょうか。
「なぜ、ジョブズは自分の子供にスマホを持たせなかったのか」という帯フレーズから始まる本書は、「なぜスマホを見るのか」といったスマホ依存の原因から書かれています。ありがちですが、たとえスマホの画面を見ていなくても、SNS等の通知が来たのが視野に入ってついスマホ画面を見てしまうことがよくあるかと思います。
そこにあるのは「もしかしたら」という未来に対する期待と不安です。これがスマホ依存の実態です。
人間は長い時間をかけて進化してきたなかで「とにかく生き残って遺伝子を残す」ことを最優先にプログラムされています。よって「死」を絶対避けようという本能があるので、不安等のネガティブな部分があったほうが、より生き残る可能性が高まります。情報があればあるほど生存できる可能性は高く、集団から離れて一人になると野生動物に襲われるといった危険が高まるので、集団から離れないようにするというわけです。
主催も一度経験がありますが、遊びに行こうとして、スマホを自宅に忘れたことに気が付き焦りましたが、既に電車に乗ってしまっていて、結局取りに戻らずに1日過ごしても、全く影響がありませんでした。
本書は絶対スマホをやめろ!という類の本ではありません。そもそもここまでデジタル的に発展した世の中で、スマホを完全に手放す未来は期待できないからです。「意識的にスマホを遠ざけなさい」という趣旨で、いろいろなライフハックも含めて書かれているのが面白い一冊です。
今回は年末最後の会となりました。コロナ渦もありましたが、一年で100名以上の方にご参加いただきました。
来年度もどうぞよろしくお願いいたします🎍