~2/9 読書会開催記録~
読書会をやっていると、本好きな方は主に2パターンあると考えています。
1つ目は、「純粋に本を読むことが趣味で、気晴らしや娯楽のために読書をする」という方です。このタイプの方は比較的、子供の頃から読書が本当に好きで、その延長線上に今があるといった感じです。
2つ目は、「仕事や実生活に活かすため、勉強の一環として本を読み漁る」という方です。このタイプの方は昔から本が好きだったわけではなく、学生時代や社会人になってから急にハマったというケースが多いです。
読書会にはどちらのタイプの方も参加して頂いていますが、それぞれ本の紹介の仕方とかも全く違っていて、聞いていてすごく面白いですし、自分のアウトプットの参考にさせていただいています。
主催は比較的後者のタイプなんですが、今回は前者のタイプが多く、逆にすごく刺激になりました。紹介していただいた本を簡単にまとめていきます。
1.かもめ食堂
「仕事を辞めたら、嫁(旦那)とオシャレなカフェを開くんだ」と考える人は多いんじゃないかなと思います。現実、実際はいくつものハードルが待ち構えていて、そんなに簡単にはいかないそうですが・・・
本書は映画化もした有名な作品ですが、全体を通してのんびりとした時間が流れる中身になっているそうです。展開の起伏もなく、日々に疲れた時には心の癒しになると紹介者の方は言ってました(笑)。お人好しでフランクな主人公のサチエと、根は良い人でも少し現実的なミドリのやり取りが魅力だそうです。
「一度きりの人生なんだし、やりたいことをやったらいいんじゃないか」というメッセージが込められています。
さておおまかなあらすじですが、先述の主人公のサチエは38歳。しかも独身。そろそろいろいろ世間一般で広く話題になるような「現実」と向き合わないとという気持ちにもなっていました。そんな彼女がいきなりフィンランドのヘルシンキに開いた「かもめ食堂」を舞台に、地元の人達とのヒューマンストーリーが繰り広げられます。バッドな要素がほぼありませんので安心して読めます。また、その一方、会社でOLをやっていたミドリも、会社の倒産を機に人生探しの旅に出ます。そこでフィンランドを選ぶのですが、その理由はたまたま地球儀を指差した先がフィンランドだったからです。また、両親を亡くし、弟の会社がつぶれたことによる借金もろもろが重なり住む家がなくなってしまったマサコは、たまたまテレビのフィンランドの特集番組を見たことがきっかけでフィンランドに訪れました。
二人ともフィンランドでサチエと出会い、色々あって「かもめ食堂」を手伝うことになることからストーリーは始まります。フィンランドという異国の地で偶然出会ってしまった3人の日本人女性と、「かもめ食堂」に訪れるフィンランド人とのやりとりが面白い作品になっています。
2.日本人の9割が知らない遺伝の真実
「遺伝」について皆さんはどのくらいご存知ですか?
主催はみな文系なので、正直高校の生物の授業で、メンデルだの優性、劣性などの言葉の意味は知っていても、遺伝が具体的にどれほどの影響があるのかとかはあまり詳しくありませんでした。
本書を読むと、まず前半部分は、知能や学力、運動神経といった能力の、遺伝によって決まる割合の高さは圧倒的なんだと思い知らされます。スポーツでいうと、短距離が得意か長距離が得意かどうかといった細かい部分まで遺伝に大きく左右されるんだそうです。
生まれつきの才能で人生が決まってしまうことは言うまでもなく理不尽なことですが、人間のほぼすべての能力について遺伝で決まる割合が非常に高いことは、様々な研究によって科学的に実証されているようです。そうなった時、次に私たちが考えるべきは、より多くの人が遺伝をよくも悪くも活かすことができるようにするということだと述べられています。
ちなみに本書は、遺伝学の第一人者である安藤 寿康さんが、学力・運動神経・収入・見た目(笑)など、「努力すればおのずと伸びていく」と世に信じられている事が、遺伝によって決まってしまっているという残酷な事実をあっけらかんにしてしまいます。一方、そもそも学力や運動神経とは何かという根本にも立ち返り、決してそれらだけが「人生の幸福度を決めてしまうわけではない」ことや、遺伝だけでなく、生まれた後の「教育の重要性」についても論じています。子供ができたばかりの人にもおすすめです。
本書は帯にも紹介されていますが、2016年にベストセラーとなった橘玲(たちばな あきら)の「言ってはいけない」を多く引用している。遺伝の影響を正しく受け止め、逆にどう「上手く生きるか」の指針にもなりうる良書です。
3.講義アメリカ文学史
その名の通り、何人ものアメリカの有名な文学者と、その時代背景をまとめた本です。非常に分厚く、全三巻におよぶボリューミーな内容となっています。有名な作者だと、マーク・トゥエインやエドガー・アラン・ポーなど。著書の中身だけでなく、その著者がなぜその本を執筆するに至ったかの背景や、アメリカの歴史についても多く触れられており、文学だけでなくアメリカの歴史そのものについても学べます。アメリカは比較的歴史が浅い国で、このシリーズが読破できれば大学の文学学術院レベルの文学知識は身に着くのだといいます。ちなみに著者は東京大学文学部の名誉教授だった渡辺利夫さんです。
当読書会は社会人一年目の方の参加率も高いからなのか、比較的ビジネス書や実用書といった「役に立つ読書」を好む方の参加が多いですが、当然どんな価値観で読書をするのかは関係なく参加は大歓迎ですので、ぜひ一度遊びにきてくださいね!!