オススメ著者⑤ ~酒井 雄哉~

名前: 酒井 雄哉(さかい ゆうさい)
職業: 僧侶(天台宗)
略歴:大阪生まれ。慶應義塾商業学校入学。落第生で卒業が危ぶまれたためその後入隊した。訓練を受けた後、特攻攻撃隊員として終戦を迎えた。 戦後は図書館職員を諸事情により職場放棄、ラーメン屋を開業するが火事で廃業。そば屋の店員、菓子店のセールスマンなど職を転々とする。結婚するも、妻が自殺してしまうという事件があり、ショックを受けて以後抜け殻のような生活を送る。その後39歳のとき得度し比叡山延暦寺に入る。その後千日回峰行という厳しい行を2度達成。 2度の回峰行を達成したものは1000年を越える比叡山の歴史の中でも3人しかいない。
著書: がんばらなくていいんだよ、ムダなことなど一つもない等、多数。

「誰!?」と思った方が大半なのではないでしょうか(笑)。実はすごく有名な僧侶の方で、今風に言うと、「お寺の業界で知らない人はいないくらいのインフルエンサー」だった方なんです。プロフィールの略歴を見て頂ければわかる通り、壮絶な人生を送っていらっしゃいます。人生の晩年に、千日回峰行を2度達成するという偉業を成し遂げました。凄さのイメージが湧かないかもしれませんので簡単に解説を載せたいと思います。

千日回峰行=7年間にわたって行う。1〜3年目は年に100日、4〜5年目は年に200日行う[2]。 勤行のあと、深夜2時に出発。経を唱えながら約30kmを平均6時間で巡拝する。途中で行を続けられなくなったときは自害する。そのための「死出紐」と短剣、埋葬料10万円を常時携行する。

とんでもないことだということがお分かり頂けるかと思います。

今回紹介する著書「がんばらなくていいんだよ」も、決して怪しい本ではなく、サッカー元日本代表の遠藤保仁選手などのプロスポーツ選手も絶賛するほどの名著です。優しい語り口の文章と、多くの苦労を経験した方だからこそ書ける深い人生観が垣間見えます。日々の生活に疲れた時に絶対読んでほしい本です。ヘタなビジネス書や自己啓発本よりもよっぽど生きる気力を与えてくれると思います。今回はそんな彼の著書の心に響く箇所を何点か紹介します。


1.生きるのが苦しいのは、執着がありすぎるから

人間、特に若いころは色んなものに執着する傾向があります。人間関係、お金、仕事など、日々私たちは欲望や執着に無意識に引っ張られながら生活しています。当然、目標や欲があってこそ人間は成長意欲が湧いてくるし、モチベーションも保てるという側面があります。しかしここで問われているのは、どうしようもないことや実益をもたらさないものに対してまで執着していませんか?ということです。例えば、もう過ぎ去った過去の仕事のミスをいつまでも引きずって時間を無駄にしてしまったり、SNSの友達の投稿が気になって眠れなくなってしまったり(本当にあるそうです。SNS中毒になっている子供たちは高い確率で睡眠不足になり集中力が低下するというデータもあります)、自分の人生ではなく、他人の人生を過ごしている時間、そしてそういった自分でコントロールできない物事に執着することは、絶対やめた方が良いと思います。

2.「いい加減」は、「良い加減」

マジメで誠実であるが故に損を被る機会の多い方にはぜひ知ってほしいとおもいます。真面目であることは素晴らしいことですが、生真面目であればあるほど、予想外のことが起きるとポキッと簡単に折れてしまうことがあります。そういう人は、人に迷惑をかけない程度のいい加減な人間になることが大切です。いい加減というのは、何もしない、どうでもいいと全てを投げ出してしまうのではなく、物事を進める際に適度に手を抜くことで、不測の事態にも落ち着いて対応できるというものです。要は「良い加減」という言葉の通り、バランス感覚を大切に、完璧主義を捨てろということだと思います。

3.とにかく逃げることも必要

いじめを受ける子供を例に、逃げることの重要性が書かれています。日本人は特に、逃げることは悪。すべてに立ち向かうことこそが美徳だという価値観を持っている人も多く、逃げることが怖くてできないがゆえに潰れてしまうケースが社会に出ても後を絶ちません。よく、コンフォートゾーンを抜け出して、ラーニングゾーンに移行して自分に負荷をかけるべきだ、と言われます。これは確かに正しいのですが、ラーニングゾーンを超えてパニックゾーンに入ってしまうと、非常に日々がしんどくなります。そして精神や体を壊してしまうのです。日々の仕事や人間関係のストレスから逃れることはできない以上、仮に自分がパニックゾーンに入ってしまった際に、すぐ逃げるということ、逃げてもいいんだということを認識しておくことだけでも全く心の持ち方は変わってくるのではないかと思います。

今回は普段あまりなじみがないであろうジャンルの著者の本を紹介しましたが、読書会を開催していると毎週こういった自分の価値観の中だけでは決して選び取ることのない本にも触れることができ、見識も広がるので改めてやっていてよかったなと思います。最後までお読み頂きありがとうございました。

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